ツチガエルを、あなたは見たことがありますか?
春~秋に田んぼの近くなどで見つけることが出来る、小さな茶色~土色のカエルです。水辺の生き物採集に行けば、平地でも里山でも見つけることが出来る一般的なカエルでもあります。
ちなみに子ガエルの時には、小さくて可愛いのですが……。4センチ程の大きさに成長した成体は、イボイボが背中にあるので、素手で触るのを躊躇してしまう人も多いと思います。
――という前置きは横に置いておいて。
冬の水辺の生き物採集ということで、鹿児島県内の某河川の支流にやって来ました。
下流にある本流では、ミナミヌマエビやドジョウなどが採れる自然豊かな水系です。
いつもの採集ポイントに向かう途中だったのですが、採集(ガサガサ)に良さそうな場所を見つけたので、田んぼの脇に駐車して出陣することにしました。
水面に覆いかぶさるように植物が生えている場所(右側)が採集のポイントです。
画像では分かりづらいのですが、植物の群生の間を縫うように、小さな流れや水たまりが出来ている場所でした。
そして1網目で採れたのが、今回のテーマである“ツチガエル”。さらに2網目で採れたのもツチガエル。3網目もツチガエル。
どうやら、ツチガエルの寝床を襲撃してしまったみたいです。
……いや、不満は無いのです。冬なので、とても立派に成長したカエルちゃんばかりですし、つぶらな瞳は、よく見たら可愛いと感じることが出来るような気がします(多分ですけれど)。
でも、「冬眠しているんじゃなかったの?」「こんな水流が直接当たるような場所で眠っていないで、田んぼのあぜ道や枯れ葉の下で暮らそうよ?」と、心の中で呟いてしまった私がいました。
冬眠の邪魔をしてしまったことに罪悪感を覚えたので、場所を100メートル程下流に移動させて網を入れます。
気持ちを一新して、水面と植物の茂みの境目に網を入れて、上流から網に向かってガサガサと足で生き物を追い込みます。
その結果、採れたのは……
……ツチガエル。
これ以上、冬眠の邪魔をしないように、場所を変えることにしました。
なお、ツチガエルはトノサマガエルのようにジャンプ力が強力ではないので、カエルの仲間としては飼育が簡単な部類に入ります。
短期的に飼育するなら「中型以上の大きさのプラケースに、浅く水を張って流木などで陸地を作る」と良いですし、長期的に飼育するなら「60センチ水槽でアクアテラリウムを作る」と見た目にも癒されます。
餌は人工飼料で栄養強化した「小型のコオロギ」を食べてくれます。
なお、余談ですが、松尾芭蕉の俳句の「古池に跳び込むカエル」はこのツチガエルだという説があるそうです。
鳴き声はグゥーグゥーというちょっとうるさい音ですが、水辺の生き物として、ツチガエルは「昔から人間の身近にいる存在」なのかもしれません。